萌えよ!アニメ道 第十二回『その着せ替え人形は恋をする』

illustration by ゔぇろ

皆さんどうも!萌研のギリギリ・サーフライダーこと、藤吉なかのです。

いや~~急に「夏」が来ましたね!僕は暑いのが大嫌いなんで、もう勘弁して欲しいんですが……

案の定、萌研運営陣は夏好きが多いため、この季節は全体的にチャットのノリが異様になります。

リアクションはおろか、返信もない。各々が各々の「夏」を満喫している何よりの証拠と言えよう。

かわいそうだから、誰か反応してやんなさいよ……

しかし辛い猛暑とはいえ、アニメTシャツを堂々と着れる季節が到来したのは良いこと!

文字通り「キャラと寄り添う」ことが出来るアニメTって、まさに究極の愛ですからね。

二次元キャラへの愛情を表現する方法はもちろん人それぞれ、そこに優劣はありませんが……

アニメTシャツなどの「三次元の世界でもキャラと共にいたい!」という趣味/営みは、かなり「究極」に近いと言えるのではないでしょうか?

というわけで、今回はそんなオタクによる「究極の愛情表現」をテーマにした傑作、、

TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』をご紹介します!

本作のテーマは一言で言えば「青春ラブコメ×コスプレ」

ひな人形職人を目指す主人公・五条くんが、ひょんなことからクラスの中心にいるギャル海夢まりんちゃんのコスプレ衣装を手がけることになってしまい……というのが本作の大まかなあらすじ。

本作最大の魅力は、とにかく魅力的なキャラクター達による心温まる掛け合いですね!

かなり気合いの入ったオタクながら、ひねくれ一切ナシで堂々と生きる海夢ちゃん。

度が過ぎた生真面目さと苦い過去に苦しみながらも、海夢ちゃんに憧れて成長していく五条くん。

このふたりが織り成す、優しくて温かく……時にドギマギ&やきもきさせられる掛け合いが最高!

「オタクに優しいギャル」ではなく、「オタクのギャルが優しい」感じ。良いですよねぇ……

実は僕、『着せ恋』は「ラブコメ」というよりも寧ろ「バディもの」に近い感覚で見ちゃうんですよね。

もちろん割とえっちさもあるラブコメなので、ドキッとさせられるシーンは多々あるものの、、

このふたりが「恋愛」だけでなく、強い「憧れと尊敬」の感情で繋がっているのが良いんですよ!

新菜くんは、自分の趣味や有り様を堂々と人に伝えられる海夢ちゃんに憧れていますし、、

片や海夢ちゃんは、強いこだわりと将来の夢を持つ五条くんを心底リスペクトしている。

主人公&ヒロインが物語に要請されて、半ば雑に「恋愛」へと歩を進めるのではなく、、

まず確かな「友愛」を育んでいく過程が丁寧に描かれているのが、良いんですよね~

やっぱりストーリーの為にキャラが動かされるのではなく、キャラの歩調に合わせてストーリーが進むのが最高ですから!

そんな本作、もちろんアニメーションとしてのクオリティも抜群です!

まず絶対に触れたいのは、やっぱり「コスプレ」というテーマにも不可欠な作画の繊細っぷり!

五条くんのこだわりが詰まった本作のコスプレ衣装は、どれも超緻密。

そういう細かい装飾が多い衣装を着たキャラを動かすのって、相当にしんどいと思うのですが……

まるで難しいことじゃないかのように、さらりとやっちゃうのが凄い!観てるこっちも戦慄不可避。

そしてもちろん衣装だけでなく、多彩な表情芝居の愛らしさにも注目ですよ!?

イメージBGやデフォルメなどを用いてポップに仕上げてみたり……

時折こうした柔らかくポップなカットがあると、本作の持ち味である美麗な作画表現が際立ちますよね。

或いは思わずため息が漏れてしまうような、スーパーリアルなお化粧の表現まで……

こちらのカットは手練アニメーター・高橋沙妃さんがガッツリ監修。アニメにおいて表現が難しい「化粧」を、こんなに美しく表現できるとは……

まさに硬軟自在のアニメーション・マジック!

同じアニメとは思えないような多彩さが、こうして見ているだけでも伝わるかと思います。

そのシーンのために必要とあらば、どんなスタイルでもモノにしてしまう器用さと貪欲な姿勢……

『着せ恋』のポップな面白さは、作り手のたゆまぬこだわりあってこそですね。

そんな本作の作画と演出を語る上で、やはり屈指の神回である第8話は外せません。

絵コンテには迫力満点の『ぼざろ』ライブシーンを生み出した立役者・川上雄介さん!

そして作画監督には『エロマンガ先生』等で超フェティッシュな働きを見せた小林恵祐さん!

この最強コンビ、A・Bパートで全く異なるスタイルのアニメーションを見せつけてくれます。

前半は、コスプレ仲間となった「ジュジュ」様たちとコスプレ撮影の下見で廃病院へ行くくだり。

不気味なロケーションに合わせた繊細な影の表現に、思わず息を呑まされます。

情報量の少ない部分(=ネガティブスペース)を巧みに織り込んだ立体的なレイアウトが美しい……

濃い影とライティング、グッと奥行き感のある構図……『エイリアン9』的なバイブスを感じます

しかしAパートのラストでは、そのシリアスさすら「フリ」として利用してしまうのが凄いところなんです。

ホラーじみた強烈な作画で描かれる困惑とパニックの芝居はそれだけで最高なんですが、、

そこにポップなインサートをねじ込み、映像的なギャップの瞬間最大風速で確実に笑わせる手腕……もう見事としか!

このカットの上下が若干切れているのは、単純にカットを積むのではなく、実際に前カットの上に「重ね」ている為!
この手法は、これがキャラクターの心象風景であり現実ではないと表現するために採用したか?安藤正臣ライクなテクニック。

散々ホラーっぽい雰囲気を盛り上げておいて、ギャグで外してオトすこの巧みさ!

ホラー描写はギャグと紙一重、という事実を改めて実感させられる、素敵すぎるシーンですね。

そしてBパートは打って変わって、静謐なエモーションに溢れた素晴らしい画面作りが見どころ。

とりとめもない、しかし同時にかけがえのない時間を過ごすふたりの海での一幕。

これがたまらなく上品に、豊かに、美しく描かれます。

撮影処理による光の表現が普段よりも手厚く丁寧に張り巡らされており、余りにも上品すぎるフィルムです。

このパートは芝居作画や撮影を含め、本作の中では相対的に写実寄りのアプローチをしている方だと思うんですが、、

とはいえ、リアルとはかけ離れているんですよね。だって江ノ島がこんなにキレイなこと無いですよ。

アンタ、しれっとめちゃくちゃ失礼なこと言ったわね……

いやいや片瀬江ノ島の波打ち際なんて、くすみきって×××みてーな色した水しかないッスから。実際。

これはやっぱし、恋に落ちている海夢ちゃんからすれば、あの江ノ島ですら天国のように美しく見えていると考えるのが自然!

いくら「写実」と言ったって、現実の何もかもをリアルに描き写したらOK!とはいきません。

もしそんなアニメがあったとしたら、実写作品の劣化コピーにしかなりえない。

現実から何をアニメへ落とし込み、また同時に何を切り捨てるのか。

『着せ恋』第8話は、アニメにおける「リアル」との向き合い方、その取捨選択に上手さがあるんですね。

海に佇む五条くんと海夢ちゃん、恋の引き潮、この詩情。

みなさん、今年も俺たちの「夏」が来ましたね……

アンタも大概、萌研メンバーよねぇ。

……会長!夏の訪れに合わせたように感受性が爆発するオタクを「萌研メンバー」と括るのヤメテ!!

ということで、今回の『萌えよ!アニメ道』はここまでーーー

ちなみに『着せ恋』は待望の2期が来月からスタート!もう楽しみでしゃーない!!

もう、間違いなく今年ナンバーワン級の傑作になること請け合いですからね。

「まだ観てないよ~」という萌研会員のみんなは、ぜひぜひ追いついてみてください!

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