
「萌えラップ」とは、萌えを感じるラップ風アニソン・ゲーソンなどを指す造語である。
この連載は(その場のノリで作ったせいで)未だその輪郭が不明瞭な「萌えラップ」というジャンルについて、アツいラップ愛を持つ萌研メンバーが語り明かす、ドープでスワッグでヒップな対談レビュー式記事!
記事に出てくるオタク共
藤吉なかの:この連載の発起人。一番好きなHIPHOPアルバムはスチャダラパー『5th wheel 2 the coach』
yuzu tomato:同人サークル”tanabata graffti”で萌えラップを作るビートメイカー。一番好きなHIPHOPアルバムは2Pac『All Eyez On Me』
なかの:さぁ始まりました、大阪日本橋から飛び出す大好評連載『今夜は”萌えラップ”ダヨネ』!
yuzu:僕ら二人とも大阪の人間じゃないけど!……とはいえ、好評はホントみたいですね!アクセス数も凄かったみたいですし。
なかの:いや〜本当にね。それを知った上で2回目の収録するの、プレッシャーがヤバいって話はあるんですケドォ……
yuzu:心なしか声が震えてるもん。プレッシャーに弱すぎるオタクだ。
アキバ侵略も控えてるんだから、そんな体たらくじゃ困るわよ!
なかの:まぁ困ったらyuzuさんに話を振って、良い感じにまとめてもらおうと思います!
yuzu:よっしゃ!任せてくださいーー
1曲目:『ずっとパッときゅっともっと』
なかの:というわけで本日の1曲目はTVアニメ『逮捕しちゃうぞ』のキャラソン、『ずっとパッときゅっともっと』(1997)を聴いていきましょう!

yuzu:おお~『逮捕しちゃうぞ』に萌えラップって意外かも!
なかの:アニメ『逮捕しちゃうぞ』といえば、やっぱりOVA版の作画が凄すぎるつって有名ですケド、、
yuzu:このキャラソンはTVアニメ版のやつなんですね。
なかの:アニメのクオリティとしてはOVA版が素晴らしすぎますけど、こと萌えラップに注目すればTVアニメ版も負けちゃいませんよ!

sakuga bot の投稿でクリップを見たことありますね、有名なヤツだ(yuzu)
なかの:ラップを担当しているのは萌え萌えな眼鏡っ娘・二階堂頼子ちゃん(cv.小桜エツ子)!この子が本当に脳みそ溶けちゃう萌えボイスでね~
yuzu:自分『逮捕しちゃうぞ』観たことないんですけど、頼子ちゃんはどういう子なんですか?
なかの:悪気なく噂を広めちゃうトラブルメーカーなんですけど、なんだか憎めないキュート眼鏡っ娘……って感じですかね

確かにこういうメガネしてるキャラって、最近ほとんど見ないかも?(yuzu)
yuzu:うわぁ~いい……もう既にこの子がどんなラップするのか気になるっっ!
なかの:ではでは早速いきましょうか。二階堂頼子(cv.小桜エツ子)で『ずっとパッときゅっともっと』!

読者のアンタ達も、ここで一聴よ♪
yuzu:う〜ん、これは良い曲だ……!まず小桜エツ子さんの声色がヤバすぎる!
なかの:これ初めて聴いたとき「ボーカル早回ししてんのか?」って思いましたよw
yuzu:これぞまさに萌えラップですよね、ピッチが速くなってうわずった音の快感というか。
なかの:前回のブログに「萌えラップの高音ボーカルはスクラッチの高音とも通じる快感がある」って感想をくれたHIPHOP DJの方がいたんですが、まさにそんな感じの曲ですよね!
yuzu:そして、コールアンドレスポンスがヤバい。気持ちいいところで合いの手が入ってくるんだよな~
なかの:これはマジでヤバい!なんとコーレス部分はめっちゃ普通の男オタク声という采配、ビビるぜ……!
yuzu:この掛け合いの温度感、どことなく「ヲタ芸」っぽさも感じますね
なかの:おぉ〜確かに!頼子ちゃんのボーカルに合間合間でちょ~どよく一般人っぽい声が挟まるの、確かにオタクの現場っぽいな……
yuzu:そうなんですよね。オタクっぽいノリも合わせ持ちつつ、同時にヒップホップっぽさもある不思議な感じします。
なかの:電波ソングとかにもありますもんね、こういうオタクの声がコーラスで入ってるヤツ
yuzu:なんだろう、クラブのパーティー感と、声優ライブの中間みたいな……?けっこう面白い質感の曲ですよね。
なかの:ふふふ……実はこの楽曲を総合プロデュースしてるのって、日本語ラップの有名クルー・EAST ENDなんですよ!
※EAST END 1990年に結成されたHIPHOPグループ。1994年からは「EAST END×YURI」として活動し、『DA・YO・NE』が日本のHIPHOP発のミリオンセラーを記録。1995年には紅白歌合戦への出演も果たした。

yuzu:EAST ENDというと、個人的にはポップスの人ってイメージなんですけど……
なかの:分かります!ただキャリアを遡ってみると、実はアングラから叩き上げの人達でもあるんですよね。
yuzu:そうなんだ~ となると「本気のB-BOYが萌えラップをやる」かなり初期の例かもですね!
なかの:まさにそうだと思います!そんでEAST ENDって、HIPHOPの持っている「パーティーミュージック」としての側面に対して、すごく自覚的な人たちなんですよ。
yuzu:なるほど、そういう面が期せずして「ヲタ芸」みたいな部分と接続してるというか……
なかの:期せずしてHIPHOPパーティーのノリが、オタクのライブ現場と紙一重みたいに聴こえてしまっているのが良いんですよね。
yuzu:だからこれ、今まで聴いてきた曲の中でも、かなりHIPHOP寄りなんですけども、そうでありながらもオタクっぽいノリをも感じさせるってのが凄くて。
なかの:いや、まさにですね!これ見つけた時、めっちゃ嬉しくて。「企画モノ的な萌えラップとはひと味違う、これはHIPHOP愛を感じるな!」って。
yuzu:うんうん。
なかの:ちょっと話題が脱線してしまいますけど、何故この企画で「萌えヒップホップ」とは名付けないかっていうと、やっぱ文化への僕らなりのリスペクトというか。
yuzu:うん。
なかの:僕らHIPHOPカルチャーを勝手に愛させて頂いているものとして、やっぱり不用意にアニソン/ゲーソンをHIPHOPと断定しきるのはね……ちょっと気は進まないと言いますか。
yuzu:いや~分かる、分かる!遠慮というか、リスペクトありきで配慮はしたい。
なかの:その前提があるとはいえ、やっぱこの曲は相っ当、”B”の匂いを感じますよね。
yuzu:本当にそうですね。まず所々のワードチョイスにHIPHOP感があって。その上で音数の多さとか、韻の踏み方/ライミングもHIPHOPに対する意識が強い!
なかの:良いですよね~韻を踏むことへの強いこだわりが随所から伝わってきて、本当に嬉しくなる!
yuzu:だって、 ワンバース目とか凄い。小節の終わりのところ「a a」でずっと韻を踏むって、めっちゃ意識高くないと出来ないですよ。

ラストはHIPHOPレジェンド・De La Soulを想起させる「マジックナンバー」で締めるのも粋ですね(yuzu)
なかの:そうですね、「ひとつのバースのケツで同じ韻を踏み続ける」っていう基本的かつ最高のリリック構成が本当に鳥肌モン!
yuzu:そうですね。もうこのワンバース目はEAST ENDの魂というか、「この曲を出来るだけHIPHOPに恥じないものにしたい」っていう彼らの意地が出てますよね。
なかの:ちゃんと脚韻で「a a」を踏むだけじゃなくて、 小節の途中でも「a a」を中間韻としてちりばめる、みたいなのもテクいんですよね。ポップな萌えラップでありつつも、ライムスキームへのマニアックなこだわりがある。
※ライムスキーム リリックにおける韻の構成のこと。各小節の末尾で韻を踏むこと(脚韻)がHIPHOPにおいては基本とされるが、その定石を敢えて外すことで快感が生まれることも……?
yuzu:よく聴くとワンバース目は掛け合いも少ないっすね!なんで、ライブだと後半に行くほど掛け合いが増してって、どんどん盛り上がっていくような構造になってるというか。
なかの:ああ、確かに!うわ、これライブで見たすぎるな~~
yuzu:「北海道から沖縄、那覇」って所もリリックの意味がしっかり通ってるのが最高!適当に音を当てはめるだけの韻の踏み方ではないっていう。
なかの:分かります!韻に踏まれてるわけじゃなく、しっかりと歌詞の流れを作っている。それでいて、韻によってトピックが忙しなく移り変わっていく散文的なラップの楽しさも詰まっていて……本当にスキルフルなリリック構成です。
『ずっとパッとキュッともっと』の音作り
なかの:ただこうした伝統的なヒップホップのリリシズムを持ち込みつつも、ビートはすごくキャッチーな感じに聞こえたんですが……yuzuさん的にはどう感じましたか?
yuzu:まずフックで入るシンセのキャッチーなメロディに耳がいったかもしれないですね。こういうメロのフレーズ感は、HIPHOPというよりも萌えラップらしいなって思います。
なかの:なるほど、やっぱそこは聞きやすさ重視のアプローチというか。
yuzu:そう思いますね~リリック構成にはHIPHOP要素があって、そのおかげか全体的な印象としてもHIPHOPの要素を感じるんですけど、、、
なかの:うんうん。
yuzu:意外とビートに関してはポップな感じでまとめ上げてるところに、萌えラップ・クリエイターとしてのプロ意識を感じます!

なかの:やっぱそこの「力配分」というか、最終的にはポップスとして曲を仕上げていく器用さに「ポップアーティスト・EAST END」としての職人性を感じますね!
yuzu:何が凄いって、 「ラップに関わるんなら、俺はアニメキャラのボーカルだろうとヒップホップっぽさは入れたいぜ」っていうB-BOYのプライドを突き通しつつ、それをやってるのが凄い!
なかの:分かります!もう伝わりますよね、小桜エツ子さんの萌え萌えな歌声越しに”B”の熱意を。
yuzu:ほんとに!でもやっぱりこの『逮捕しちゃうぞ』のキャラソンを聴く層が、必ずしもHIPHOPを聴く層ではないと思うので……
なかの:そこはやっぱりHIPHOPに免疫が無い方でも聴きやすいように、っていうのを意識したトラックに仕上げてきたんでしょうね。
yuzu:オタクへの気遣いとB-BOYとしての覚悟を、どう両取りするかっていう問題だ……!
なかの:でも限界までHIPHOP要素は入れていきたい!っていう意思で、リリックとかはちゃんと作り込むのが本当に最高ですよね。ポップなラップにも、ポップなりの矜持が当然ある!
yuzu:リリック以外でも、「ガヤ」みたいなヒップホップらしい要素をちりばめていくことで全体のバランスを取ってますよね。
なかの:う~ん、確かに。ポップなトラックとHIPHOPに忠実なライムスキーム……萌えラップでありながらもHIPHOPに強く敬意を示す筋の通し方が泣ける名曲ですね!
yuzu:いや~今回も1曲目からマジで良い!!
2曲目『Gotcha!』
なかの:さて、今度はグッと新しい曲、2024年リリースのナウい萌えラップを聴いていきたくて。
yuzu:おお~楽しみ!やっぱりクラシックを振り返るだけじゃなくて、今のリリースも追ってこそヘッズですからね。
なかの:間違いなくそう!……というわけで続いてはRIP SLYMEプロデュースの萌えラップ……シャニマスの『Gotcha!』を聴いていきましょう!
yuzu:おお~RIP SLYMEとシャニマス!そんなコラボがあったとは……
なかの:しかも投票で選ばれたこの曲限定のオリジナルユニット!芹沢あさひ・八宮めぐる・西城樹里というちょっと珍しい取り合わせでね。
yuzu:いいですね~僕もシャニマスはそんなに詳しくないんですが、世代的にアイマスとデレマスのアニメはめっちゃリアタイ勢でした!
なかの:あ、そうですよね!やっぱりニコニコ動画とかきっかけでした?
yuzu:でしたね~アーケードの移植版(だったかな?)を数あるハードの中でもXboxから発売するって聴いたときは「えぇ……!?」って思いましたよ

なかの:面白っ!確かにXboxって、洋ゲー/ホラゲとか「大人の人がやってる怖いゲーム」がいっぱいあるイメージしかないもんな
yuzu:いくらMicrosoftとはいえ……ねぇ……
なかの:でも今調べたら、しれっと10万本売れてるみたいですね
yuzu:え~マジか!!移植先に敢えてXboxを選んだ先人の勇気があって、シャニや学マスの大成功があるってことなんだなぁ……
なかの:アイマスはラップ楽曲が多いんで、萌えラップ的に重要なコンテンツな気がしてるんですよね~あんまガッツリ掘れてないので推測でしかないけれど!
yuzu:なるほど!確かに『14平米にスーベニア』とかありますもんね。
なかの:あれはマジのマジで名曲……!最近だと学マスで、いかにもネットラップって仕上がりの『仮想狂騒曲』なんかもありましたし、ホントに目が離せない。
yuzu:あれも、ある方向性での「スキル」が爆発してる楽曲でしたね。さて、シャニマスはどんなアプローチで来るのか……
なかの:ではでは早速聴いていきますか!『シャニマス』「シャイニーPRオファー」Vol.3よりの1曲、芹沢あさひ・八宮めぐる・西城樹里で『Gotcha!』

アイドル萌えラップ、最高ね!みんなもここで一度聴きなさい!
yuzu:いや〜これは意外なアプローチだ!
なかの:ですよねぇ!?萌えラップでありつつも、萌えレゲエというか。
yuzu:283プロの”アイドル”って名前に甘えない歌唱への意識の高さを感じますね。クールな声色でフィメールラッパーっぽく仕上げてきてるの良いな~
なかの:うんうん。まず、このメンツにこのビートをあてがった采配にビガップ!
yuzu:この挑戦的なビートに応えるアイドル達のボーカルも凄いですよね。それぞれが発声も滑舌もハイレベルすぎるし……
なかの:もうここまでくると、前の年代の萌えラップの楽しみ方とはまた変わってきますよね。HIPHOP経由した時代のアイドル達によるガチな萌えラップ!
yuzu:80~90年代の手探り感も良いけど、このガチ感もまたシビれる……!
いくらオタク心理に聡いシャニマス運営といえど、芹沢あさひからDr.Dreを連想されるとは思うまいね。(なかの)
なかの:あさひのセクシーなフロウ、めぐるのバイリンガルフロウ、樹里ちゃんのピンと張ったオラオラ系フロウ……とにかく三者三様の個性が爆発!というか、、
yuzu:ラップのスタイルで個性を表現する凝り方が、キャラソンらしさともマッチしてるのが最高!
なかの:やっぱラップという手法の「一人称的な語り」ってキャラソン映えしますよね!
yuzu:そして韻も当然ながら固い!この辺りは『逮捕しちゃうぞ』の時代と比べると、オタク層にもHIPHOPが浸透してきてるから、リリックを凝りまくっても受け入れられるというか……
なかの:いや~ホントに!作り手側の問題というよりは、むしろ受け手のオタク側のリテラシーが高まったから、ここまでスキルフルに出来るんだと思います。
yuzu:さりげなくやってますけど、「Gotcha!」のかけ声をブリッジにしてマイクパスしていくバース構成とか超良いですもんね。ポップなラップとしての完成度が純粋に高い!
なかの:あと、これはホントに無関係な情報ですけど、『五ツ座流星群』の樹里ちゃんラップも最高なのでオススメ……
yuzu:あとはやっぱ、レゲエ好きなら絶対に聴いたことある「BUDY BYE BUDY BYE」っていう名フレーズを「(大判)振る舞い 振る舞い」に言い換えていくこのセンス……マ~ジですごい!
なかの:こういうフレーズの翻案は流石ですよね!本場のフレーズを破壊&翻訳して日本語に落とし込むっていう試み自体が、すごく90’s日本語ラップな遊び心に満ちてるというか。
yuzu:この「振る舞い」を思いついた時、もう勝利を確信したでしょうね。「あ、これ絶対ヤバい曲になるわ」って。
なかの:絶対そう!こういうハイレベルな言葉遊びを、萌えラップでもしっかり前面に押し出してくるセンス……喰らわされちゃいますね。
yuzu:ライミングだけじゃなく、リリックのあらゆる面からプロデュース陣の圧倒的な実力をビリビリ感じます!
『Gotcha!』の音作り
なかの:さてさてここまでは『Gotcha!』のリリックについて語ってきましたが……yuzuさん目線でこの曲の音作りはどうですか?
yuzu:そうですね、ドラムのフレーズは結構トラップっぽいんですけど……同時にドラムの音色自体はむしろブーンバップ的というか。
※トラップ・ブーンバップ いずれも音楽ジャンルの名称。トラップはハイハットをバシバシ連続で打ったり、ド派手な電子音を用いたりすることが多い。一方ブーンバップは主にサンプリングを用いた太くゆったりしたドラムのループを基調にしている。
なかの:簡単にジャンル分けできない感じですよね、トラップかと思ったら全然違うし……みたいな。
yuzu:しかもこの曲、フックの辺りから急に音がめっちゃ増えてるのかな?
なかの:そうですね、フックから一気に華やかになる印象あります!
yuzu:そういう意味では『ずっとパッときゅっともっと』とアプローチは逆ですよね。『ずっと』のフックは音数を絞ってたけど、 『Gotcha!』はフックで華やかに変化するというか。
なかの:確かに確かに……
yuzu:多分この『Gotcha!』の場合は全体的に音数がかなり多くなるから、通常のヒップホップみたいにドラムはそこまで強調できないんでしょうね。
なかの:あ〜なるほど!もし引き算タイプのフックだったら、このドラムの控えめさは少し不自然かも。
yuzu:うん、ドラムのところで低音を出しすぎたり、スネアでミドル取ったりしちゃうと、その他の音があんまり入らなくなっちゃう。もしムリヤリ入れても、ゴチャゴチャした仕上がりになっちゃうと思うので。
なかの:ドラムへのこだわりが物凄い!やっぱラップの核はドラムとベースですからね……
yuzu:しかもイントロのドラムフレーズ、一瞬だけビットクラッシャーかかってました?
※ビットクラッシャー 特定の音のビット深度・サンプリング周波数を下げる……らしいのだがよく分からなかった。要は音の質感をLo-Fiに近づけるエフェクトらしいです。
なかの:……ぅお~~確かに?ウンウンそんな感じしますねぇ!!
アンタ、ホントは全然分かってないんじゃないの!?
yuzu:ドラムフレーズだけじゃなくて、ドラムのサウンドを変化させることで起伏を生む狙いなんですかね。だとしたら、めちゃくちゃ凝ってる……
なかの:いや〜しかもド派手なフックに入る前、EDMでよく聴く「ちゅんちゅんちゅんちゅんチュチュチュチュ……」っていう、強制的に全人類をアゲさせる例のフレーズが入るっていう!
yuzu:このシンセ本当に良い!「萌えラップ」と一口に言っても、この曲はレゲエ〜EDMまで、多彩なジャンルのアプローチが詰まってますよね。
なかの:レゲエも有機的なブーンバップ調のドラムだけじゃなくて、無機的でデジタルなトラップ風のノリまで多用ですからねぇ……
yuzu:あ~そうか、EDMとも相性がそう悪くないんだ。HIPHOPだけじゃなくて、レゲエへの理解も深いのが良いですね!
なかの:前回紹介した『おさんぽ協奏曲』も多国籍なアプローチが印象的でしたけど……この『Gotcha!』も「ジャンルの越境性」みたいなものを凄く感じるビート!
yuzu:既存のアプローチだけでやり切らずに、色んなものを組み合わせて自分オリジナルのものを作っていく…というかね。
なかの:うんうん。
yuzu:でもその「オリジナル」がシャニマスのアイドル達と掛け合わさると、グッとアニソン/萌えラップっぽくなるっていう凄さ!
なかの:この曲を手がけてるDJ FUMIYAとRYO-Zが、こういう「女の子にポップなラップを作る」仕事に慣れてるのも大きいかもしれないですね。なんてったってHALCALIのプロデュースやってた連中なので……
ボーカルのメロディと裏のホーンセクションを沿わせるようなHOOKのアプローチ、大胆不敵すぎ!(yuzu)
※HALCALI 「HALCA」と「YUCALI」の2人組ラップ・ユニット。渋谷系のエッセンスが色濃いサウンドが特徴で、プロデュースをRYO-ZとDJ FUMIYAによるユニットである「O.T.F(オシャレ・トラック・ファクトリー)」が手がける。
yuzu:あ、そうなんですね!じゃあもうポップなラップ作るのはお手のものなんだ。
なかの:得意中の得意、かもです!HIPHOPのOGでもありますけど、萌えラップ・クリエイターとしてyuzuの先輩でもある!
yuzu:確かにw なんか急にRIP SLYMEが身近に感じてきたな……
なかの:萌えラップに惹かれし者、みな同胞ですから!もう実質yuzuさんとFUMIYAは義兄弟みたいなもんですね。
あんまテキトーなこと言うモンやないで
おわりに
なかの:というわけで今回は『ずっとパッときゅっともっと』と『Gotcha!』の2曲を聴いてもらった訳ですが……
yuzu:いや〜今回も凄かった!聞き応えがヤバいです。
なかの:実は今回の裏テーマは「本職のB-BOYが携わった萌えラップ」特集なんですよね。
yuzu:確かに!前回はHIPHOP外の人による萌えラップでしたけど、今回はEAST ENDとRIP SLYME…両方とも日本語ラップの人たちで。
なかの:しかも両者は同じグループ(FUNKY GRAMMAR UNIT)所属!この辺りの人たちはポップなセンスある人が多いんで、こういうタイアップ仕事が上手い!
yuzu:おお〜そんな繋がりがあったとは…時期でいうと30年も離れた曲ですけど、こうやって並べて聴くとまた発見がありますね。
なかの:本当に!ヒップホップマナーを心得ている人間が、敢えて作る萌えラップ…これはまた少し異質な良さですよね。
yuzu:そうですね〜今日聴いた2曲はもちろんビートもそうですけど、ライミングっていう意味でも、「萌えラップ」というものを1段階更新するような作品で。
なかの:うんうん。
yuzu:まず1曲目の『ずっとパッときゅっともっと』とかは、もうワンバース目から掛け合いなしで、「a a」で踏みまくるっていう意識の高さが凄かったですしね。
なかの:あれは本当に泣けるクオリティ。みんな、EAST END再評価をここから始めていこうぜ!
yuzu:萌えラップきっかけで本業の方の再評価なんてことあったら、夢がありますねぇ……!
なかの:そして2曲目の『Gotcha!』はもう世間にHIPHOPが浸透しているからこそ、フロウを際立たせる韻の配置にも更に全力で取り組めるというか。
yuzu:そうですね!その上でサウンド面が硬派になりすぎないよう、多彩なアプローチで曲とアイドルの世界観を表現していて凄い。
なかの:なるほど……やっぱり、HIPHOP的な感覚を重視して萌えラップ制作をなさってる立場として、yuzuさん的にもグッとくるところありましたか?
yuzu:そうですね~やっぱり萌えラップを作っていると、萌え要素とHIPHOP的な要素のバランスをどうするか凄く迷うんですよ。

なかの:きっとそうですよね。この記事ですらそのバランスに苦心してるくらいなんで、楽曲制作はもっともっと難しそう……
yuzu:なので今回の2曲の”仕上がり方”には勇気をもらえましたね、「あ、萌えラップもここまでHIPHOP感を出して良いんだ!」って。
なかの:HIPHOPとは似ても似つかない「ラップ歌謡」的な萌えラップも最高ですけど、やっぱりHIPHOPな匂いを感じる萌えラップはヘッズとして嬉しくなりますよね!
yuzu:ホントそうですね!それから、80年代の曲も聴いた前回からの流れで聴くと、萌えラップは着実に進化していることがわかって良かったです〜
なかの:いや~ありがたい感想!どうしても「萌えラップ」というテーマ上、昔の作品を取り扱うことが増えてしまうんですけど…個人的にはあんまり「懐古」みたいな方向に振り切りたくはないんですよね。
yuzu:いや、分かります!古いものを取り上げたとしても、あくまで良いモノだから取り上げるという。
なかの:ですね!これは萌研で書く文章の全てで意識してることなんですけど、やっぱり単なる「あの頃は良かった」みたいに後ろ向きな姿勢に収まるんじゃなくて、「こんな良いモノがあったの知ってる?」って前向きな姿勢で生きていきたいッス
yuzu:やっぱりそもそも80~90年代とかだと、「あの頃」をそもそも実感として知らないってのがありますしね!となると僕らにとっては懐古じゃなくて、新たな出会いというか。
なかの:懐古じゃなくて、HIPHOP流の”back to the basic”の精神だから!
yuzu:うんうん……あ、良い感じの落とし所が見つかったんじゃないですか!!
なかの:確かに、キレイな着地だ!というわけで今回の記事はここまで~~!!
首の皮一枚、ギリギリでシメられたわね……!
次回更新も気長に待っててや!
おすすめの曲あればコメントして




コメント
レゲエの名曲から落とし込んでアイドルに歌わせるなんてよく思いついたな、すごい