
「萌えラップ」とは、萌えを感じるラップ風アニソン・ゲーソンなどを指す造語である。
この連載は(その場のノリで作ったせいで)未だその輪郭が不明瞭な「萌えラップ」というジャンルについて、アツいラップ愛を持つ萌研メンバーが語り明かす、ドープでスワッグでヒップな対談レビュー式記事!
記事に出てくるオタク共
藤吉なかの:萌研ブログ編集長。人生ベストゲームは『ファイアーエムブレムif 白夜王国』
yuzu tomato:萌えラップを作るビートメイカー。人生ベストゲームは『Civilization Revolution』
なかの:さぁさぁ、コミティア155の壁サークル・萌研がお送りする大好評連載、『「萌えラップ」ダヨネ。』始めていきましょ〜〜
yuzu:おーさっそく調子に乗ってる!前回は島中だったのに、とんでもない大出世ですよね。
なかの:いや〜実際はその重圧に耐えかねていまして…(収録時はコミティア開催前)もう開き直って、自分からプレッシャーかけていくしかないってのが実際のところなんですがね!
yuzu:まぁこの記事が出る頃にはコミティアも無事に終わっているはずですから!大行列でスタッフさんを困らせるくらい繁盛するのを期待しましょう!
1曲目『ゲームガールズ』
なかの:さてさて本題に入っていくと…実は旧年2025年もね、やはり萌えラップシーンは活発に動いております!
yuzu:そ、そうなんですか!?
なかの:まぁこう、そんなシーンあるの? という冷徹なツッコミが各所から聞こえてきますがね。
yuzu:まぁまぁ、そういう局所的なシーンがあるということにしておきましょう!
なかの:少なくとも僕らの中には確実にありますから。やっぱ去年も色々とやばい曲ありましたけど、一番喰らったのは『DATE WARS』っていうコンテンツの1曲!これyuzuさん知ってます?
yuzu:いや〜知らないですね。いわゆる女性声優のメディアミックス的なやつですか?
なかの:ですね!超ざっくり言うと70年代〜00年代までの各年代をレペゼンする女の子たちがいて、その子たちがその時代っぽい音楽をやる…みたいなコンセプトのコンテンツなんですよ。
yuzu:なるほど!まずその方針がめっちゃ尖ってますね。かなり「楽曲派」というか、音楽で攻める気満々だ。
なかの:そうなんですよ!とにかく音楽面のチャレンジングさが素晴らしくって…コンテンツとしてはまぁこう、ネーミングとか設定のアクの強さが人を選ぶなぁって思ったりしてるんですが。
yuzu:あ〜……でもとにかく、音楽に関しては間違いないって感じなんですね。
なかの:そうそう!んで、90年代はやっぱりクラブミュージックの年代ということで、日本語ラップのカバーが出てます。なんと、スチャダラパーの名曲『ゲームボーイズ』のカバー!
yuzu:おお〜めっちゃアツい!ゲーム大好きオタク男子のラップを、美少女がカバーしてくれるっていうのヤバいな!
なかの:スチャダラパーといえば『ゼルダの伝説』でCMソングなんかも作ってるし、ずっとゲーム文化には接近してたクルーですけど…そんな彼らの曲を二次元美少女がカバーするってのは「ありそうでなかった」気がするというか。
yuzu:あ〜確かに。カバーされるとしたら『今夜はブギー・バック』があるけど、まぁあれはスチャダラパーのナード感とは距離がある感じだもんなぁ…
なかの:そうですね、みんながカバーしたいのは「ものすごく素敵なポップス」としての『ブギーバック』でしかないというか。やっぱり、シニカル&ナード&しゃべくりなスチャダラパーの楽曲ってのは、カバーするにも難しいところがありますし。
yuzu:そんな難しいところを、あえて令和に突っ切ってくれたってことですよね。まずはそのチャレンジ精神にリスペクトを送りたい!
なかの:まさにそうです!しかもスチャダラパーにキチンと筋を通して、タイトルを『ゲームガールズ』に変更までしてるんですよ。
yuzu:萌えラップに”本気”だ…選曲からしてセンスを感じましたけど、そういうとこまでこだわるっていうのがアツいですね。
なかの:そんなこだわりが体感できる楽曲になっているんで、まずは聴いていきましょう!90年代時空旅楽団で『ゲームガールズ』!
(Now listening……)
なかの:いや〜マジで良い曲!90年代という時代テーマに合わせて、短冊シングルでリリースされてるのもニクいところですね。
yuzu:まずはやっぱり、ここまでスチャダラパーが萌えナイズされるの凄い!
なかの:まずは『ゲームボーイズ』が超イイ曲って大前提があって、その上で真っ直ぐに『ゲームガールズ』に味変カバーしているっていう…もうコンセプトの時点で勝利しているところがありますよね。
yuzu:小烏丸棕櫚さんの癒しボイスがめっちゃイイですね、この声色でラップされると問答無用で癒されちゃう感じ!これぞ萌えラップって面白みですね〜

こういう「癒し」のボーカルって一番HIPHOPに足りてないかも(yuzu)
なかの:分かります。他メンバーも明るい子からクール美女まで声色が多彩で、萌えラップ的なマイクリレーの楽しさに溢れてる!そんでビートもめっちゃ最高という。
yuzu:冒頭からチップチューンのサウンドがすごく前面に出てきますね。実は原曲『ゲームボーイズ』は「ゲーム」と言いつつも、全然チップチューンのサウンドじゃないという、意外と。
なかの:うんうん、時代も相まって完全にブーンバップ系ですもんね
yuzu:まさにおっしゃる通り『ゲームボーイズ』って骨組み自体は生音感のあるブーンバップで、そこにゲーム効果音とかをサンプリングする…って感じですよね。でもカバー版の『ゲームガールズ』に関しては、冒頭からガッツリとチップチューンのサウンドでゲーム感がすごく強い。ここがまず原曲との最大の違いなのかなって思います。
なかの:それこそ以前『苺ましまろ』を取り上げた時に「チップチューンは萌えラップ映えしますね」なんて話も出ましたけど、ここでも萌えラップとチップチューンが出会ってますね。
yuzu:だからこのカバーって、原曲よりもゲーム要素を濃くしている感じがするかな。ブーンバップからチップチューンへ移行することでヒップホップ濃度を薄めて、その分ゲーム要素を注入する…みたいな。
なかの:確かにそうですね〜
yuzu:途中でマリオのBGMをサンプリングしてたりするところとか、結構ビックリしましたね〜萌えラップでサンプリングって珍しい感じがしません?
なかの:かなり珍しいと思いますね!萌えラップの多くが商業ベースのアニソン/ゲーソンである都合上、やっぱり著作権的な問題で、直接のサンプリングってやり辛いのかなって。
yuzu:そんな中でも遊び心を出すためにサンプリングに挑んでくるのは覚悟を感じますよね!諸々の問題を避けるために直接のサンプリングはしないけど、若干ズラして弾き直すみたいな。
なかの:それこそ音楽に限らずアニメとかでも、「日常に根付いてるメロディをマイナー調にするとか弾き直して笑いを取る」みたいなのがあるじゃないですか。最近だと『ミルキー⭐︎サブウェイ』で呼び込み君風の「排除くん」が流れましたけど…

yuzu:あれ最高ですね!音ハメまでやってくれたのぶち上がったな〜
なかの:ああいうノリの延長って捉えると、弾き直しサンプリングもオタクに受け入れられやすいのかも。
yuzu:確かに!あのズラした引用って、萌えラップなりに頑張ったサンプリングという風に捉えられて個人的には面白いなって思いますね。
なかの:やっぱ我々、連載を重ねていく中で「萌えラップはヒップホップでは全くないよ」というのを繰り返しているわけなんですが…やっぱその一因としてサンプリング技法が使いづらいっていうのがありますね〜
yuzu:ですね!もちろんサンプリングだけがヒップホップミュージックではないんですが、とはいえ頻繁に用いられる手法ではあるでしょうから。
なかの:ね、その点この曲は果敢にサンプリングへ取り組んでますよね。それこそ元ネタのスチャダラパーが後年にも『ワープトンネル』とかでゲームからのサンプリングに再度チャレンジしていたりするわけですから、そういうチャレンジ精神を受け継いでいるとも言える!
yuzu:なるほど!日本語ラップから萌えラップへの継承ですね。
なかの:なんとかして「やったろう」「爪痕を残してやろう」という意志を感じるというか、「イケる限界までラップっぽくしたろう」っていうハングリーさ!
yuzu:可視化されてないだけで、萌えラップにもたくさん先人がいるわけですからね。その中で今、存在感を残そうとするためにサンプリングに挑むというのは意義深い気がします!
美少女映えする!?『ゲームガールズ』のリリック
なかの:あと、僕は結構リリック面にも喰らっちゃいますね。なんかもう「スチャダラパーのこの歌詞って、30年後に声優さんに歌ってもらうために書いた歌詞なのかな?」って勘違いしちゃうくらい、美少女に歌わせても違和感ないっていう!
yuzu:んなわけないんですけどね、なんかそう思っちゃうんですよね〜 それこそ「うるちゃーい、もうほっといてちょーだい」ってとことか、これ美少女用の歌詞じゃないの!?って思っちゃう。
なかの:スチャが書いたおふざけと自虐も兼ねた子供口調みたいなのが、こうも美少女にバッチリ合っちゃうってのを見出したのは偉大ですよね!
yuzu:あとはやっぱ後半、この頃のスチャダラパーっぽいシニカルなパートが入ってきますよね?これがまた最高ですよね。

なかの:既存タイトルの続編ばかりに終始する業界に向かって、「売れたらアータそれでいいの?」ってグサッと刺す問題提起を美少女に歌われると、「踏み込んだなぁ!?」っていう喜びありますよね。『じょしらく』のブラックなネタをTVで初めて見た時の驚きと完全に同じ高揚感というか…
yuzu:その一方で原曲だと深夜にゲームで騒ぎすぎて隣人に怒られるっていうオチがつくところを、女の子たちでわちゃわちゃしてるセリフに変えてたりとかしてますし…原曲の活かすところ・変えるところの選択が上手いなぁと。
なかの:原曲の要素を上手く換骨奪胎してる感じですよね。「全く別の曲」みたいにはならないようにしつつも、ちゃんと『DATE WARS』に合うように歌詞とかを改変している。そういうところにリスペクトを感じます。
yuzu:確かにそうですね。リスペクトってまんまコピーするだけじゃなくて、ちゃんと自分らなりのオリジナルなアンサーを出すみたいなやり方もあるよな〜って改めて思いました。それを萌えラップで見れるってのが激アツ!
なかの:それこそ萌えラップからは少し話がズレちゃいますけど、萌えカバーってとこに限ると『夏のあらし!』のカバーソングアルバムに入ってる『Romanticが止まらない』のカバー(加奈子 CV:堀江由衣)とかもその路線ですよね。

小見川千明による魂の陽水『氷の世界』カバーにブチ上がる!(なかの)
yuzu:あ〜そうですね!あれは本当に名カバー、、、
なかの:原曲にシンセの美味しいフレーズがあるから、敢えて逆をついてそこをアコースティックなカバーでいく。あの編曲はとんでもないですよね。
yuzu:ですね。あれって原曲のポップに聴こえるメロディーが実はしっとり聴かせるのに合ってるなっていうのを再確認させられるところがあったりして。すごく巧みに原曲の再解釈をやってるな〜って感動しましたね。
なかの:『ゲームガールズ』も、こと日本語ラップ・クラシックのカバーということだけを抜き出すと、けっこう変わり種な曲なのかなって思われそうですけど…萌えラップとしても萌えカバーとしても寧ろド王道ってのが最高っす!
yuzu:シンプルに聴いて萌えられるし、深堀りしようと思えばいくらでも出来そうな深みもある。これは流石に去年のベスト級ですね…。
2曲目『少年ハート』
なかの:ということで、2曲目も「カバー萌えラップ」繋がりで聴いていきたいと思うんですが…今度は天下のコンテンツ会社・ブシロード様のプロジェクトから1曲紹介させていただければと。
yuzu:ブシロードには本当ね…我々萌えラップヘッズはお世話になりがちです。Cygamesと並んで、当分は足向けて寝れない相手というか、、、
なかの:本当にそう!『ラブライブ!』『ミルキィホームズ』には萌えラップがたくさんありますし、前進のブロッコリー時代まで含めたら『デ・ジ・キャラット』にも実は萌えラップがあったりしますからね。
yuzu:そうか!そう考えると本当にお世話になってますね…
なかの:なんでこんなにブシロードが萌えラップ作ってくれてるかっていうと、どうしても他のTVアニメとかだと、作れる曲数が現実的に少ないってのがあるんじゃないかと。そんな限りある曲数の中で「萌えラップ」を選ぶのって命知らずな選択というか…
yuzu:どうしても受け入れられやすい楽曲にしようとするなら、歌ものが多くなってきますよね。
なかの:そんな中でアニメにとらわれず楽曲展開できるメディアミックス系は、当然ながら楽曲の数も多くなっていく…そういう豊かな土壌だと、「ハズし」としての萌えラップ楽曲が割と出てくれるんだと思うんですよ。
yuzu:キャラソンを作る時、フランクに選ぶことができる選択肢のひとつとして「萌えラップ」が当たり前にある時代になってきたんですかね?
なかの:そうかもしれないですよね。『ウマ娘』なんて6~7曲も萌えラップありますし、ブシロード系のTVアニメ『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』とかも大半が萌えラップですから!
yuzu:いや〜冗談半分で「萌えラップがアツい」って言ってきましたけど、本当に盛り上がってきてる!嬉しいですね。
なかの:そんな萌えラップシーンを昔から牽引し続けているヘッズを救ってくれるブシロード、オリジナルだけでなくカバー曲も盛んでして…そういう中でも熱かった1曲が、『D4DJ』にてカバーされたHOME MADE 家族の『少年ハート』です!
yuzu:お〜これはまた懐かしどころですね!オタクが聴いている日本語ラップといえば『ココロオドル』かコレかって感じの印象あります。
なかの:この曲はまぁ…古のインターネットに入り浸ってた人はMADやらで聴いたことがあるのではという名曲ですね。ある意味でオタクの日本語ラップ・アンセムとすら言えるこの曲、照れくさいくらい真っ直ぐなメッセージを歌う曲ですが…yuzuさんってリアルタイムでこういう日本語ラップに触れてましたか?
yuzu:いや〜名前こそ知ってますけど、聴いてはなかったですね。その頃はギターに夢中だったので…
なかの:そうだった!その頃のyuzuさんはジミヘン大好きロック少年でしたもんね。
yuzu:そう、ジミヘン・サバス・放課後ティータイム…ここを延々ループの青春時代でした!だから新鮮な気持ちで聞けますね。
なかの:その硬派っぷりだとHOME MADE 家族とかって全ッ然聴いてなかったと思うんですけど、ここで萌えラップ越しに改めて触れてみるっていうのもアリかと。ではPeaky P-keyで『少年ハート(cover)』聴いていきましょう!
(Now listening……)
なかの:いやー、ええ曲や…
yuzu:いいですね、なんかすごいカバー映えしてる気がする!
なかの:ぶち上げ系のビートではありつつも、同時に温かいリリックで感動もさせてくるという…一石二鳥な萌えラップですよね。まずこの曲って、やっぱサウンド面の特徴として『D4DJ』らしさが発揮されたバキバキとクラブっぽい雰囲気があったと思うんですけど…?
yuzu:まさに「クラブでござい!」って感じのサウンドですよね。原曲のサウンドにあった特徴…ドラムとかホーンセクションの生っぽい手触りは、完全にEDMっぽいサウンドに変化しているってのがまずは大きいかなと。
なかの:うんうんうん。
yuzu:やっぱりこうやってシンセの音をガンガン使うサウンドだと、”今の時代感”が出しやすくなって面白いかなって思います。
なかの:ほう!僕みたいなシロート目線だと、シンセの方が生楽器よりもなんかこう…機械なので時代性とか薄かったりするのかな〜なんて思っちゃったりするんですが…
yuzu:これはもちろん諸説あると思うんですけど、生楽器の音っていうのはどんなに時代が過ぎても変わりづらいかなって僕は思いますね。例えばバイオリンの音とかって、これから数百年経っても大きくは変わらずにある程度は「バイオリンの音」であり続けてくれると思うんです。でもシンセの場合は、技術革新やトレンドの移り変わりが生楽器と比べると目まぐるしいから…
なかの:なるほど!機械だからこそマイナーチェンジが凄いスピードで起こるってことか…確かによく考えてみると、ヒップホップもドラムマシンとかサンプラーの技術革新に影響を受けて、音がガラって変化してますもんね。
yuzu:そうそう、まさにそういうことです!だからこそ今、この時代にカバーをやる意味があるのかなって思いますね。だからこれが例えばまた10年後20年後とかにカバーやってみたら、同じようにシンセを使って編曲をしたとしても響きがガラッと変わってくると思うんですよ。
なかの:ふんふん。
yuzu:こういうEDMサウンドでの編曲だからこそ、この時代ならではの一期一会なカバーになっている気がします。そう考えると、ありがたみがすごいありましたね。
なかの:めちゃくちゃいいコメントだ!
「萌えラップ」だからこそグッとくるリリシズム
なかの:そういえば『D4DJ』と同じくブシロード系のビッグコンテンツ『BanG Dream!』にもORANGE RANGE『上海ハニー』の萌えラップカバーがあるんですよね、これも参考がてらちょっと聴いてみません?
yuzu:『上海ハニー』あるんですか!『BanG Dream!』といえば最近だとDiggy-MO’がプロデュースしてるAve Mujicaが話題ですけど…
なかの:これはムジカの登場よりもかなり前で、初期グループ「ハロー、ハッピーワールド!」によるカバーですね!これぞ萌えラップというカラッとした明るい可愛さがあってタマラン具合なんで、ちょっと再生してみますか〜
(Now listening……)
yuzu:お〜めちゃめちゃポップですね!とにかく萌えだ…
なかの:伊藤美来の声って本当に一歩間違えたら耳がキンキンしちゃいそうなツボを果敢に攻める、ギリギリの萌えをやってて素晴らしすぎるぜ…
yuzu:この『上海ハニー』はバンドリ系列ってこともあって、振り切ってる『D4DJ』と比べると打ち込み感とバンドサウンドが共存してる感じでしたね。原曲自体も同じように打ち込みっぽい音とバンドサウンドが両方入ってるっていうことで、そこを上手く取り入れつつ調理しているというか。
なかの:そうですよね。こうやって聴き比べるとコンテンツごとの特徴がハッキリ見えてきて面白いです!
yuzu:両曲とも萌えなボーカルなんで全体的にポップな方へグンと振り切れてはいるんですけど、『BanG Dream!』と『D4DJ』とでは、その内容が全然違う!『少年ハート』はクラブっぽさを前面に押し出しているんで、より僕ら好みの音ですよね。
なかの:やっぱし可愛くてポップなハロハピがラップをカバーすると、やっぱ低音が足りない感じしますよね。もちろんそれはそれとして良い萌えラップなんですけど、かなりポップスに寄ってる音作りではあるのかなって。
yuzu:ですね〜
なかの:でも『D4DJ』がカバーすると、「デッデッデッデンデン、デレデデン」って裏メロみたいなエグいフレーズがあったりして、ポップさの中に鋭利な刃物が仕込まれている感じというか…
yuzu:分かるな〜 こういう音の方が、より僕らの好きな萌えラップっぽいですよね。
なかの:そうですね!原曲の温かみあるサウンドとは全然違うんですけど、違うは違うなりにちゃんと『D4DJ』らしい美学を持ってこの曲を萌えラップとしてカバーしてる感じに痺れますね!
yuzu:『ゲームガールズ』もそうでしたけど、こういう風に「カバーするにあたって原曲と取っ組みあった形跡」が見えるとカバーの面白みが出てくるなって思います!あとはシンプルに音圧が高くて嬉しい。
なかの:本当にそう!!!!
yuzu:左右への広がりとか、シンセの鳴りとか、商業の中でここまでやってくれてると結構嬉しくなりますよね。
なかの:そのビート上にふわっとした萌え声で、「鏡の中のお前に問う!まだまだこんなもんじゃ無いだろ!?」とか言われるとね、もう……「ひぃー!」って叫んじゃう。”あまりにも”すぎて。

yuzu:急にめっちゃ喰らってるの面白いな でも確かにそこヤバいですよね!美少女をインターフェースとして一枚隔てることで、一気に差し迫った迫力が出る感じ。個人的にはカバーされたことで、リリックの届き具合が一気に上がったなって思います。
なかの:HOME MADE 家族に言われたくらいじゃ「へいへ〜い」って適当に流しちゃうようなフレーズなんですけど、美少女に言われると「うわ〜〜〜〜”ユメ”に現実を突きつけられた〜〜〜〜〜!!!!」って衝撃で、一撃K.Oされちゃいますね
yuzu:美少女になって綺麗事の威力が倍増してるっていうか、もう逃げられなくなってるというか…
なかの:いやそうっすね…嘘のように感じられる綺麗事が書かれたリリックを、そもそも存在自体が”嘘”の2次元美少女が歌うことで、急に凄みが感じられますよ!なんというか、「嘘の子が言う綺麗事」は「真(まこと)」に聞こえるのかも。
yuzu:その辺は2次元美少女が持つデフォルメのよさかもしれませんね。マイナス×マイナスはプラスじゃないですけど、一周して聞こえが変わってくる感じ。
なかの:やっぱ1回こうやって美少女フィルター通してもらうっつーか、真っ直ぐな歌も萌えキャラにカバーしてもらえると…急にめっちゃ泣けます…っ
yuzu:薄情なヘッズだ!捻くれ者のオタクに真っ直ぐなメッセージを届けるには、もう美少女しかないのかもしれない!
おわりに
yuzu:まぁ、この辺りでまとめがてら真面目な話に入っていくと、今回聴いたカバー系萌えラップには「ラップをカバーする」っていう行為の面白さがすごく出てるとも言えますよね!誰がラップするかでリリックの響き方が変わるという。
なかの:そうですね、普通の歌謡曲とかロックと比較した時、相対的にヒップホップ/ラップってやっぱり一人称性が強いものだと思うんですけど…
yuzu:はいはい、、、
なかの:そんな歌唱法の特徴を分かりつつ、ここで開き直ってアニソンなんていうセルアウトしきった商業の回しもんがラップをカバーしてしまうことの、外道じみた面白みってバカにならないものがあると思います。
yuzu:う〜〜ん、なるほど。
なかの:カバーという行為によってラップの「一人称」をすげかえてしまう暴力性を、面の皮厚くも萌えキャラが担ったことによって生じる快感があるというか…
yuzu:確かにカバー系萌えラップはそういう「あっちゃならない快感」かもしれませんね。0から萌えラップを作るより批評性も試されるからこそ、そういう快感も倍増していくのかもしれない。
なかの:結論としては、萌えラップカバーとの向き合い方って、GAS BOYSよろしく「臭い物にはフタをして 時々開けて楽しむんだ」ってことかもですね!ラップという手法の一人称性を大事に思うのならば、カバー系萌えラップなんて存在はともすれば在っちゃならないモノですらあるんだけど、これにはどうしても惹かれてしまう「臭い」魔力があるという。
yuzu:萌えラップの不真面目さにも通じる名パンチライン!!最高だ
なかの:というわけでみんな、今こそカバー系萌えラップを聴こう!ついでにGAS BOYSも聴こう!きっとブチ喰らうぞ!!
どんなオチやねん
ばりけ〜ん
萌えラップの世界は狭く深いわね……!


コメント
少年ハートを美少女が代弁してくれるのでかい物語が始まる予感がしますね