萌えよ!アニメ道 第十八回『センチメンタルジャーニー』

illustration by ゔぇろ

皆さんどうも!萌研の寅さんみたいな瘋癲、藤吉なかのです。

何かと忙しい師走の今日この頃!!萌研の面々も来る冬コミ新刊に向けて追い込み作業中!

今回の新刊はも~~~~う激ヤバな本に仕上がりそうなので、期待しててください!!

萌研の新たな一歩、絶対に見逃さないでよねっ!

ものすごい同人誌になりそうやで…………完成さえすれば。

さてさてそんな中、萌えアニメ・ウォッチャーの自分に大ニュースが入ってきました!

なんと知る人ぞ知る「萌えオムニバスアニメ」の秀作『センチメンタルジャーニー』がdアニメ解禁!!めでたい!!!!

これによりDVDの価値がべっっっっこり下がりましたが、まぁ良し!

これまで中々サブスク配信されなかったこともあって、決して有名ではない本作ですが……

知名度が付いてきていないだけで、間違いなく舌の肥えた萌えアニメ好きを唸らすアニメなんです!

というわけで今回は『センチメンタルジャーニー』の魅力をとことん深堀り!!

ひとりでも多くの萌研会員に本作と出会ってもらえるよう、ガンガン語っていきますよ~~

『センチメンタルジャーニー』とは?

そもそも『センチメンタルジャーニー』とは、1998年に放送されたTVアニメ!

恋愛ゲーム『センチメンタルグラフィティ』を原作とし、萌えのメッカ・電撃G’sマガジンでも精力的にプロモーションが行われるなど……

『ときめきメモリアル』直後の恋愛ゲームブームを担った作品のひとつみたいですね。

そんな本作のコンセプトは、ずばり「12都市12少女物語」

日本各地に点在する美少女12人、それぞれの物語を1人につき1話かけて描く……

そんなアンソロ風味あふれるオムニバス作品である点が、本作最大の個性と言えるでしょう!

1話1話、主人公となるヒロイン・舞台・物語の質感までもが大きく変わる体験は、昨今では中々味わえない刺激的なものですからね~~

そんな多彩な12のエピソードに通底する本作のコンセプトは、ずばり「切なさ」!

「意味もなく眠れない夜がありますか?ふと、誰かの顔を思い浮かべることがありますか?忘れられない想い出や、押さえ切れない気持ち……開けてください、12の切なさの扉を。」

毎話冒頭に挿入されるこのセリフに代表されるように、本作は各キャラが抱える「切なさ」を丁寧に描いていきます。

例えば第6話では、弓道少女・綾崎若菜が”射”を行う際の邪心(切ない恋心)と向き合う禅問答のような葛藤が描かれますし、、

第6話はそのテーマに対応してか、レイアウトもバチバチ決まってます!

例えば第12話では男性への苦手意識を持つヒロイン・沢渡ほのかが、ひょんなことから唯一心を許している父親との関係を見直さざるを得なくなり……?というお話が描かれます。

恋愛と親子愛を見つめた先に、ほのかちゃんが傷つきながらも成長していくストーリーは必見!

しかしこうした恋愛がらみのお話を描く一方で、ちょっと捻ったドラマも描けるのが本作の強みです。

例えば第3話は、スレた大人の女性と不思議な少女・七瀬優が夜行列車で出会い……という不思議なドラマ。

電車という閉鎖空間でのドラマは映像化が難しくなりがちなのですが……

この回は本ブログでも過去に紹介した『誕生-debut-』の監督・望月智充が絵コンテを担当!

その確かな実力で、七瀬優の謎めいた魅力にあてられていく女性の姿を的確に描いています!

そして、そんな第3話を凌ぐほど捻ったドラマが展開されるのが、シリーズも後半の第10話。

このエピソードでは呉服屋の跡取りヒロイン・保坂美由紀が、伝統工芸の担い手不足と時代の移り変わりに頭を悩ませます。

呉服屋という古き良き家業を深く愛しつつも、一方で「家のためにお前は他の大手呉服屋の息子とお見合いをしろ」と語る祖父の封建的な価値観には同調できない!と美由紀が悩む姿は、中々にハード。

さらに本心では、美由紀は画家の道に進めたいとも考えていたりして、も~~~大変!!!

祖父もお見合い相手も、決して悪い人じゃない(むしろいい人)なのが逆にリアル……

……いやいや、そんな難しい問題やんの!?と反射的に思った方も多いでしょう。

うーーーーん、正直なハナシ……僕も10話に関しては「切ない」つって感傷に浸ってる場合じゃないだろとは思うかも。とりあえず美由紀ちゃんのおうちは、地方自治体とかから適切な支援を受けて欲しいですね。切実に。

でもでも、こういう挑戦的なことを鼻息荒くやっちゃうのが『センチメンタルジャーニー』の面白いところなんですよ!

「切なさ」というありがちなテーマを多角的に捉え、友情や恋愛といった身近なテーマから、伝統工芸文化の継承まで射程に捉える視野の広さ……

萌え大好きオタク達はもちろん、「ちょっと変わったストーリーを楽しんでみたい」というアニメファンのニーズにも応えられるのが、本作の魅力です!

回想で合わさる「写真×映画」-2つのノスタルジー表現-

そんな本作が紡ぎ出す12通りの「切なさ」は、当然ながらシナリオだけでなく映像の工夫からも感じ取ることが出来ます!

そんな本作の迸る映像表現を感じることが出来るのは、やっぱり第1話「〜少女のためのヴァイオリン・ソナタ〜」でしょう。

全国ヴァイオリンコンクールでの準優勝をきっかけに楽器を辞め、普通の女の子に戻ろうと決心した遠藤晶ちゃんがこの回の主人公!

彼女の才能に惚れ込んだドイツ人コーチの熱心な引き留めを躱す中で、晶ちゃんは中学時代に恋した”彼”と共に過ごしたヴァイオリン練習の日々を思い出していく……というのが大まかなあらすじです!

この回がね、もう本当に画面作りが上手いんですよ~~

例えば晶ちゃんがヴァイオリンから解放されたと喜び、友人と何気ない買い物に興じつつも、本心ではどこか楽しみきれない……というこのシーン。

何気ないカットのように見えますが、コレが地味にテクニカル!

敢えて晶ちゃんを友人2人の背中で挟み込むようなアングルで捉えることで、彼女がむしろ「解放感」とは程遠い「閉塞感」を感じている事実を強調することに成功しています。

また、画面上で友人2人は横並びに配置されているのに対し、晶ちゃんだけが奥側に追いやられているのも興味深いところです!

たとえこうして3人組で遊んでいても、晶ちゃんだけはどこか違う世界にいる……

そんな「切なさ」が伝わる奥行き感ですよね。どこかヴァイオリンのない生活になじめない、そんな晶ちゃんの深層心理も察せられる素晴らしい1カットです!

そして次第に物語は”彼”との甘酸っぱい思い出回想パートへと進むんですが……

この回想パートが攻めまくっていて本当に凄いんです!

まず凄いポイントが、この回想で画面の色味が一気に茶色寄りに統一されること。

どことなく古めかしさを感じる、セピア調な色彩構成とでも言いましょうか。

映像で古めかしい表現をやろうとする時って大抵はモノクロにすると思うんですが、本作は敢えてちょっと外した色味なのが堪らないポイントです!

フルカラーで描かれる通常パートとの対比も効いているおかげか、まるで古典的な映画……いや寧ろ、この映像全体がアルバムの中で色あせてしまった思い出の写真のようですよね。

この色味自体がなんとも切なくて、いつ見ても惚れ惚れしてしまいます!

そして更に攻めているのが、このパートには一切のセリフがないこと!!

晶ちゃんと”彼”の会話はまるで無声映画のように、画面に直接表示される形で示されます。

BGMのみが流れる中、情感たっぷりに進んでいく初恋のドラマはとにかくメロウな仕上がり!

セリフを廃したことによって生まれる情緒とテンポ感、そして映像へのこだわりが、晶ちゃんにとってこの思い出がどんなに大切なものなのかをそのまま表現していますよね。

「褪せた写真のような色味×無声映画のような音響演出」という、本来ならば交わりにくい2つのノスタルジックなコンセプト……

これらを見事に無理なく合体させたこの回想パートは、紛れもなく第1話のハイライト!

そして『センチメンタルジャーニー』というアニメ作品が描きたい「切なさ」を、なにより巧みに表現したシーンだと言えるでしょう。

……というわけで、今回は知る人ぞ知るTVアニメ『センチメンタルジャーニー』を語ってきましたが、いかがでしたか!?

十人十色ならぬ十二人十二色な個性を巧みに描かれた本作は、まさに萌えオムニバス史の礎を築いた作品だと言えます。

この作品のスタッフを一部引き継ぐ形で放送された萌えオムニバス『セラフィムコール』が、実は誇張抜きで日本TVアニメ史の端っこに名を刻む一大傑作だったりするのですが……

『セラフィムコール』第11話より このアニメは本当に凄いからね……!!

そんな大傑作について語るのは、またの機会にしましょうかね!!いつかの更新をお楽しみに!!

そして、日付的に『萌えよ!アニメ道』も年内最終更新ですね~

今年はなんと14回(!?)も更新した本連載。読んでくれるみなさんに感謝です!!読んでくれる人が居ないと、こんなに頑張れませんからね……

よかったら、コメント欄で「アニメ道のこの回が良かった!」みたいな感想をいただけると、今後の参考にもなるので超嬉しいです~~~

来年も頑張って更新していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

年を越そうと何が起きようと、アニメ道は続くわよっ!

コメント

  1. 『センチメンタルジャーニー』大好き!超好き!皆さまにおすすめしてくれてありがとうございます! :moyu_smile:

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