
「萌えラップ」とは、萌えを感じるラップ風アニソン・ゲーソンなどを指す造語である。
この連載は(その場のノリで作ったせいで)未だその輪郭が不明瞭な「萌えラップ」というジャンルについて、アツいラップ愛を持つ萌研メンバーが語り明かす、ドープでスワッグでヒップな対談レビュー式記事!
記事に出てくるオタク共
藤吉なかの:萌研ブログ編集長。カラオケの十八番はPoppin’Party『夏のドーン!』
yuzu tomato:萌えラップを作るビートメイカー。カラオケの十八番は井上陽水『傘がない』
???:謎に満ちた今回のゲスト。カラオケの十八番はORIGINAL LOVE『接吻』
なかの:ということで、始まりました手間のかかる人気連載「萌えラップ」!
yuzu:よっ!よろしくお願いします〜
なかの:いつも我々ふたりで、まぁ主に自分がyuzuさんに萌えラップの名曲を教える…と言う感じでやっているこの連載なんですが、やっぱりたまにはそのパターンを崩していかないとなと思いません?
yuzu:確かに。いつもの流れも楽しいですけど、連載ならたまにはテコ入れというか…ガッツリと味変された回も欲しいところですよね。
なかの:というわけで今回は久しぶりのゲスト回です!楽しみですね〜〜
yuzu:なんと!前回は確か『きんモザ』の萌えラップを作曲された芳川ヨシノさんが来てくれた時でしたが、、、

なかの:今回もヨシノさんに負けず劣らずのビッグ・ゲストですよ…ふふふ…
yuzu:なんてこった!一体だれなんだろう…!?
??:もうだいぶ話したくなくなってきたかも
なかの:ということでお呼びしましょう。僕が最近普通にDJイベントで会った、萌えラップを掘っている一般オタク、砂(さご)さんです。
砂:はい、よろしくお願いします。
なかの:萌研ブログでも「地方萌えキャラ」の記事を書いてくださったことでお馴染みの砂さんですが、実はこの世に数少ない「萌えラップヘッズ」でもあるという!

砂:そうですね〜普段は音楽掘りながら、Tシャツ作ったりとかしてます。なかの君とは普通にDJイベントで会って仲良くなった感じです
yuzu:現場の縁なんですね
なかの:普段ぼくがyuzuさんに共有している萌えラップってアニメとかゲーム系の楽曲が多いんですけど、砂さんはアイドル系まで幅広く掘っていて本当に凄いんですよね〜
yuzu:萌えラップの連載で前に「萌えラップのヘッズ全然いない」って語ってましたけど、その数少ない2人が同じ現場に居合わせたの凄い!
なかの:そうそう、本当に「さよなら絶望放送」のリスナー数みたいな感じで5人ぐらいしかいないんじゃないかって思ってたから嬉しくって…
砂:懐かしっっっっっ 俺めっちゃ聞いてたわ!

なかの:僕、色々あって途中までしか追えてないんですよね〜 たしか藍ぽん(野中藍)がクリスマスなのに一人で自動車教習所に行って寂しかった…ってあたりの回から聞けてなくて。
砂:うわ〜〜全てが懐かしい!!!僕、後藤沙緒里のゲスト回がマジで大好きなんですよね〜
なかの:あ、だからdiscordのアイコンが烏丸ちとせ(『ギャラクシーエンジェル』)なんですか!?
砂:あ、そうそう!後藤沙緒里がもう大好きで大好きで…
なかの:僕もめっちゃ好きです!インターネットにも「『チェンソーマン』コベニは後藤沙緒里!!」って連呼してるオタクがいましたしね…いまだに根強い人気がある方!
砂:わかる!でも結果的に『チェンソー』で後藤沙緒里は「蜘蛛の悪魔」を演じたという…

なかの:絶望した!若干ニアピンな後藤沙緒里の役どころに絶望した!
yuzu:全体的に会話が令和のノリじゃなさすぎるでしょ
なかの:…さぁ、ということで早速オタクは意気投合という感じなんですが…まず砂さんにお聞きしたいのは「萌えラップ好きなオタクは普段からどう掘ってるのか」ですかね
砂:そうですね、やっぱりアニソンやゲーソンってジャンルの特性として、ほとんどの場合「歌ってる本人が曲を書けない」っていうのがあるわけじゃないですか?
yuzu:そうですよね、シンガーソングライターとかみたいにはいかない。どっちかというと歌謡曲的な構造というか…
砂:まさに歌謡曲ってのがドンピシャだと思います!アニメ・ゲーム・アイドル・歌謡曲…どれも大半の楽曲は専業の作詞家・作曲家がいて、その方たちが「コンテンツへの楽曲提供」という形でカッコいい曲を作っているという。
なかの:この構造いいですよね〜 話がちょっとズレちゃいますけど、委員長(月ノ美兎)の1stアルバムとかは「楽曲提供」っていう歌謡の形態が大成功した名盤って気がします。
yuzu:分かる!豪華なクリエイター陣が思い思いのVtuber像を提供しあっていて、すごくコンセプチュアルですよね
砂:そんな具合に、アニソンやらアイドルソングが歌謡の形態だからこそ、シンプルにクレジットをよく見るようにしてますね。好きな曲ができたら「この人の過去作は…」みたいな感じで芋づる式に調べていってるかも!
なかの:なるほど〜 やっぱりどのジャンルもdigの本質は愚直な情報収集ですね…
砂:そうですね。今日はそんなdigで知った方々の中でも、ちょっとポピュラーな方々を紹介してみようかな〜と!
なかの:おお〜楽しみ!
yuzu:僕もそんなにアニソンを体系的に掘ってないんで、めっちゃワクワクですね。
砂チョイス・萌えラップ作曲家①「星銀乃丈」
なかの:というわけで早速、砂さん的にアツいコンポーザーを紹介頂ければという感じなんですが…まず1人目はどういう方なんでしょうか?
砂:はい、まずご紹介するのは「星銀乃丈」さんですね〜
なかの:でた!名前がド派手だから、さすがに僕も知ってます!アニソンめっちゃやってる方ですよね?
砂:そうですね!まだまだお若い方なんですけど、アニメ・声優・アイドル…本当に幅広く活躍されてますね。宅録系のアーティストさんとも親交があったりして、今まさに大注目の作曲家です。
なかの:あ、星さんはダイアローグ(DIALOGUE+)の曲とかもやってるんですね
砂:アッッッそうなんですよ!!……ね、DIALOGUE+って本当にいい曲が多くて。
なかの:ちなみにこれは僕の持論なんですけど、楽曲派アニソンオタクってDIALOGUE+の話を振るとめっちゃ嬉しそうな声になるっていう印象ですね。
砂:やべっ図星すぎた
yuzu:まんまと手のひらの上だ
なかの:まぁ閑話休題って感じで話を戻しますが…星銀乃丈いいですよね〜!最近はTVアニメの主題歌・劇伴とかでも頻繁に名前を拝見するというか、それこそ『紫雲寺家』とか?
砂:あ〜〜〜〜あのアニメは「楽曲派殺し」ですね!
なかの:そんな村上春樹の新作みたいなフレーズが出てくるとは。
yuzu:原作よりだいぶ無差別に殺しにきてるが
砂:そんな「楽曲派殺し」な星さんの萌えラップとして皆さんに紹介したいのは、『あやかしトライアングル』のキャラクターソング『Cream Dream Parfait』です!
なかの:おお〜〜『あやトラ』!これは萌えラップヘッズ総立ちですよ

yuzu:自分からすると『ToLOVEる』矢吹先生のマンガって印象しかないんですが、萌えラップ的にもアツいんですね!?
砂:ですね。『あやトラ』ってキャラソンが殆ど萌えラップというか、どちらかというとポエトリー(※詩の朗読)寄りな感じの曲が多くて。
なかの:Blu-ray特典かなんかでついてくるキャラソンのCMを見た時に「え、なんかキャラソンがぜんぶ萌えポエトリーなんだけど!?」ってビビりましたね。作品自体はただただお色気アニメなんだけど…
yuzu:エロとポエトリーって、なんか遠い気もしますけどね。
なかの:まぁでもエロ歌謡とかって、喘ぎながら喋って歌うみたいなレコードが少なくない印象ですね。実はエロとポエトリー(お喋り)ってかなり距離が近いのかもしれない!有名どこだと池玲子とか…
砂:なるほど、実はポエトリーってエロのご近所さんなのか!その点『あやトラ』はラップだとエロ売りがそんなにないっていうところが、立ち位置的に難しいところかもしれませんね。
yuzu:確かに確かに…
砂:さっき「普段は作曲家で掘ってる」みたいなこと言ったばっかりで恐縮なんですけど、作詞家から掘るルートも全然アリですね。やっぱりラップの歌詞を書くって、プロの作詞家でも誰にでも出来るってわけではないんで…
なかの:確かに!最近だとネットラッパー系の人とかが作詞を担当したりする楽曲とかちょっとずつ増えてきてますね。この曲に関しては「作詞・やしきん」という!もう安心!
yuzu:アツい!もう言わずと知れたレジェンドですよね。
なかの:やしきんさん、なんかラップのイメージがめちゃくちゃあるんだよな。
砂:やっぱ伝わりやすいところだと『てーきゅう』ですよね
なかの:あと個人的に好きなのは「にじさんじ」笹木のソロ曲『ダイパンダ』とか!ああいうアニソンっぽい口調とか言葉選びでラップを作るのが凄く上手い方って印象あります。
砂:ではではそんな『Cream Dream Parfait』さっそく聴いていきましょうか!
(Now listening……)
yuzu:これまた良い曲!ちょっとチルな雰囲気なんですね!
砂:韻をゴリゴリ踏んでラップするってより、ネオソウルな感じのトラックでポエトリーしていくっていう感じですよね。やっぱり「キャラを演じてる」っていうレイヤーが一枚あるだけで、普通のラッパーよりもポエトリー的な表現が馴染みやすいと思ってて。
yuzu:それはあるかもしれない…
砂:普通のヒップホップの曲とかで、いきなりポエトリーが入ってくると「おお…」って少したじろぐ瞬間もあるというか。ポエトリーラップの立ち位置って難しいなぁって思う時もあったりしてね。
なかの:確かに。個人的にポエトリーとヒップホップといえば、スピリチュアルな方面にガッツリ寄せたSUIKA『タマキハル』とかを連想するんですけど…こと萌えラップに関してはバカ萌え系のアニメ&コンテンツに多いですよね、ポエトリー系って。
砂:バカ萌え系で言うと『100カノ』の特殊EDとかがありますかね。でも萌えポエトリーが「雰囲気系」に寄せてる楽曲も割とあって、例えば『Princess Letter(s)』のシリーズとかはエモい感じのムードありますね。
なかの:あ〜ありましたね!女の子が直筆手紙で俺らに返信してくれるみたいなコンテンツのやつだ。今どうなってんのか知らんけど…
yuzu:そういうポエトリー的な曲の中でも、この『Cream Dream Parfait』はリズムをしっかり取ってる感じが楽しいですよね。サビのメロディも柔らかい印象の良いメロディ!
砂:トラックの上品さにも注目したいところですね。木琴とかベルとかの音が良いアクセントになっているというか…
yuzu:そのへんの音ってkawaii future bassを聴いた時とかにも聴く印象があるんですよね。聴く人に「萌え感」を伝えやすい音色なのかなって思います!
砂:歌詞の話に移ると、この子ずっとお菓子の話してるんですよね。これはよくわかんないっすけどw
なかの:でも、お菓子系アニソンいいですからね!僕はプリチャンの『ワン・ツー・スウィーツ』がめっちゃ好きでぇ…
砂:え!?!?俺プリティーシリーズ全視聴オタクやで。
なかの:うそぉ!?僕もプリティーシリーズほぼ全部見てます!!
砂:俺、普通に来週もアイプリのライブに行くんすわ。
yuzu:めっちゃタイムリーだ!というか収録時期がめちゃんこバレますね。
なかの:まずい、俺がこの記事の編集にアホみたいな時間をかけていることがバレてしまう…
砂:え、なかのさんはプリティーシリーズだと何が一番好きなんですか?
なかの:ベストって言われると流石に『プリティーリズム・オーロラドリーム』になっちゃうんですけど、それはそれとして思い出深いのは『プリチャン』なんですよね。

砂:そうなんですね!
なかの:なんでかっていうと、コロナの時にぼーっとニコニコ動画見てたら「ニコニ広告」で勝手にオタクが雑なフレーム補完した『ワン・ツー・スウィーツ』のライブ映像が流れてきたのがアニメオタク人生の始まりなんで…
砂:そんなことある!?人には人のアニメ人生だ
(※アニメオタクとしてのメンツのため追記させていただきますが、僕自身はフレーム補完には断固反対派ですよ! by 藤吉なかの)
なかの:あ〜でもすんません。このままプリチャンの話し続けると『インディビジュアル・ジュエル』とリングマリィの話をして号泣するトコまで行くからヤバい!
砂:それはまずい、僕も『インディビジュアル・ジュエル』の話すると本当にダメなんで。
yuzu:あのーーーうん、今のうちに止まっておきましょう。
なかの・砂:はい、ごめんなさい。
なかの:そう、砂さんが星銀乃丈さん繋がりでもう一曲持ってきてくださったということで。
砂:そうっすね。ちょっとアニメとかでなく声優楽曲になってはしまうんですけど。
なかの:いやいや、ウェルカムですよ どんとこい声優楽曲!
yuzu:え、声オタの上田次郎?
砂:というわけで2曲目はTogaRhythm(トガリズム)の『週末ガールズトーク』!この曲自体は相坂優歌さんと前田玲奈さんがやってる声優ラジオの企画で生まれたアルバムに収録されてまして、いわゆる「掛け合い型」萌えラップですね。

yuzu:掛け合い型、良いですね!これぞ萌えラップって感じします
砂:これの作曲が星銀乃丈さん、んで作詞家がかわいあこさんって方でして。このお二人、実は「Tiny Baby」っていうユニットで音楽活動もしてるんですよね〜
なかの:なるほど!ちょっと聴いてみましたけど、渋谷系とかR&Bとかそっち系の楽曲が多くてめっちゃムードいいですね。
砂:マジでそうっすね!作詞のかわいあこさんは実際にラップ調のシンガーソングライターみたいなこともやられていて、間違いない歌詞が書ける人なので…「もう任せとけ」って感じの布陣です。
なかの:では早速TogaRhythmの『週末ガールズトーク』聴いていきましょう!
(Now listening……)
yuzu:いいですね〜!けっこう曲展開が面白いというか、ブリッジのところでガクッとテンションが落ちたりするの刺激的です!
砂:ベースとしては打ち込みのキックだったりと宅録感のある音でやってるんですけど、要所要所でギターとか生音も使ってて、そこがやっぱゴージャスっすよね。
yuzu:しかも単純にギターをループさせてるだけじゃなくて、ちゃんと弾いてますよね。後半のリバーブとディレイが強めにかかった空間っぽい?展開も面白いというか…
砂:そこからギターソロまでの流れがとにかく綺麗ですよね、本当に。ここらへんとかギターをブリッジミュートした音なのか、それっぽいシンセの音なのか…シャキシャキしたリズミカルな風合いがたまらない。
yuzu:素直にめちゃくちゃオケが良いですよね!ギターがサイドに留まるだけじゃなく、ちゃんと聴かせてくれるのが嬉しい。最後も「えいやっ」てワウペダルをかけてギター弾いてるのとか、遊び心を感じます。
砂:確かギターは星銀乃丈本人が弾いてるはずですね、本当に凄い!本人がコンポーザー業に留まらず、自分名義で音楽活動してるっていう安心感がこういうとこにあります。
なかの:こういう良さについて語り始めると、これまでの連載でも話してきた「楽曲提供」みたいな話題がここでまた戻ってくる感じですね。いわゆる「自作自演」…シンガーソングライターとかラッパー的な一人称性ある創作ではないからこそ生まれる面白みというか!
yuzu:やっぱアニメキャラとかアイドルに楽曲提供をすることによって生まれるケミストリー的な面白さ、ありますよね〜
砂:声優とかアイドルのアルバムって楽曲提供の人をごちゃ混ぜで入れるんで、「1曲目ではめっちゃロックだったのに、2曲目こんな可愛い系なんや!?」ってなるのが面白いですよね。ジャンルの詰め合わせみたいなのが頻繁に起こってて、それが単純に音楽ファンとしては嬉しいです!
yuzu:その声優さんのファン目線でも「いろんな一面を見れて嬉しい」みたいな嬉しさがあるでしょうしね〜
砂:そういう一種のコンピ盤みたいな感じで声優楽曲は聴いてますね。これも歌謡的な楽しみ方なんだろうなと。
なかの:逆にそういうとこ、自覚的に統一感を出してたのが絶望先生のキャラソンとかになりますよね。ああいうノリもまた良いし…
砂:ですね!統一感があってもコンピっぽくても嬉しい…
砂チョイス・萌えラップ作曲家②「佐伯youthK」
なかの:ということで「星銀乃丈」編を終えて、2人目のオススメをお聞きしたいんですが…ズバリ次の方は!?
砂:次にご紹介するのは「佐伯youthK」(※ユウスケ表記もアリ)さんという方ですね!SixTONESとかの超有名アイドルにもたくさん楽曲提供している方で、多分そっちの方が有名かも知んないっす。アイドルファンの方からしたら「あ、アニソンもやってんだ」みたいな…
yuzu:あ、なるほど!じゃあしっかり売れっ子さんというか。
砂:ですね!普段はブラスの音がけっこう高音でカンカンって入ってて、そこに男性アイドルが力強く下側から低く発声する感じというか…割とスピット(※勢いよくラップする)する感じの曲が多いイメージですね。ご本人が元々ダンスもやってらしたのもあるのかな?
なかの:ほほ〜〜そんな佐伯さんも満を辞して萌えラップを提供してらっしゃるという。
yuzu:そんな彼の仕事の中でも、オススメの萌えラップはなんですか?
砂:はい!今回紹介するのは『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』より、『いったん』という曲になります。
yuzu:お〜『蓮ノ空』というと…ラブライブでしたっけ?
なかの:ですよね、確かリアルタイムでスクールアイドルの子達が年齢を重ねていくってヤツでしたっけね?

砂:そうです!もう発表された時は騒然でしたね、「えっ!?」て。「この子達が俺らと一緒に年をとるってこと?」って。
yuzu:めちゃくちゃ凄いな もう「永遠の17歳」みたいなお約束を自ら破壊していくという…!
砂:で、この『いったん』という曲はなんと卒業シングルのB面に入ってる曲なんです、実はこれ。
なかの:ええ…切な…
砂:やっぱし「卒業」ってことでA面は切ない曲になってるんですけど、こっちの『いったん』は超ハッピーな感じですね。これが本当に英断だなぁと思ってまして…
yuzu:というと?
砂:だってオタク全員、「感動の最終回」と同じくらい「ハッピーな最終回」が大好きなんで。そういう幕の下ろし方を選んでくれたんだなって思うと、すごくグッときますね。
なかの:いや〜わかる!!やっぱ『けいおん!!』最後のOPもやっぱり途方もなく明るいじゃないですか。「♪みんなが大好き」って歌ってくれると、本当に救われるというかね…
砂:『けいおん!!』のあの感じ、確かに近いかも!あの感じで聴いてくれるとファンの気持ちが更に分かるかもしれないっす。
なかの:なるほど!では蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブで『いったん』を聴いていきましょう…
yuzu:なんか緊張してきました これから門出を迎える子たちの曲を聴くのか…
(Now listening……)
yuzu:う〜〜〜〜ん、いい曲ですね!なんか砂さんの説明も踏まえると沁みます。こんなに明るく卒業していくんだ…
なかの:ストレートな萌えラップかというとアレですけど、楽曲全体のR&B感がたまらん仕上がりですね!これはノレるな〜
砂:今までの連載だと結構ラップの文脈が強い楽曲が紹介されてたと思うんですけど、今回はちょっとR&Bな感じで攻めてみました!
yuzu:なるほど!企画の幅まで考えてくださってるなんて…!
砂:ラップというよりも、メロディーに乗ってる歌詞の中でちょこちょこ韻を踏んでるみたいな感じですね。こういう緩い押韻もけっこう好きで。
yuzu:あとこの曲はとにかく全体に満ちてる多幸感がすごいですよね!卒業するっていうシングルなのに、こんなニコニコになれる曲で締めるってのが凄い…
砂:「卒業するんだぞ」って言ってるのに、ハッピーハッピーで終わるっていう姿勢が、逆にメチャ泣けますね。
yuzu:パッと聞きでも分かる音数の多さからも、海外のハイスクールでやってる卒業式みたいな印象を覚えますよね。日本の厳粛な卒業式というよりは、海外ドラマのお祭り騒ぎみたいなやつ!
なかの:あ〜分かります ミュージカル系の海外ドラマで最高学年の子達が皆で歌うみたいな!
yuzu:音数ももちろんですけど、サビのコードとか開放感がすごいですよね!
砂:パブサしたら「田中秀和さんのコード進行と似てる」みたいに言及してる人はいますね。僕は「そんな言うほどか?」って思ったんだけどw
なかの:音数がガッツリ多い中でも、高音の抜け感?というか…聴いてて疲れたりはしないのがすげぇな〜って思いますね。
砂:途中にほ〜んの少ししか出てこないシンセの音とかもあって、1秒も出し惜しみしない感じはあるのに、同時に聴き疲れはしないっていうね!間奏にもカントリーミュージックとかで使われる”フィドル”っていうバイオリンみたいな弦楽器が使われてたりして、本当に何度聴いても耳が楽しい楽曲です。
なかの:やっぱそういう音数の多さがまず耳に飛び込んでくる中で、砂さん的にはリリックの部分にも注目ポイントがあるということなんですよね?
砂:そうなんですよ、この楽曲の歌詞自体が全体的に口語調のゆるいノリで書かれてる上にダブルミーニング的な言葉遊びが多くって…例えばこの「とりあえず歌うからOK」って歌詞は「からOK」=「カラオケ」のことだったり。
yuzu:おお〜これはいいっすね!
砂:サビなんかは「ちゃ」のパワープレイがめっちゃ気持ちいいですね!
「ワンチャンネコチャン
めちゃんこちゃんとKawaliよ
あぁごっちゃになっちゃえ
ハチャメチャ踊りましょ」
なかの:早口言葉みたいな気持ちよさですよね。しかもそれを「ちゃ」という音でやるというのが面白い!日本語ラップの黎明期にMICROPHONE PAGERというクルーがやっていた工夫にも通ずるテクニックを感じます。
yuzu:えっここでまさかのPAGER言及!?
砂:トピックの飛距離がありすぎる
なかの:いやぁ〜そう…PAGERのMASAOってラッパーが「日本語のラップでどうカッコいい雰囲気が出るか」って試行錯誤した結果として「ぶ」「ば」「ぼ」みたいな破裂音を多くリリックに取り入れて迫力を出したっていう話があって…(諸説アリ)

yuzu:なるほど!つまりカッコよさのために破裂音を取り入れるのと同様に、萌え萌えさを出すためには「ちゃ」みたいな柔らかい音を多用するのがいいってことですね…!?
なかの:まさにそうです!でじこが語尾の「にょ」で日々ライムしているのと同様に、萌えラップは柔らかい音で押韻すべし!
砂:でじこの語尾は萌えラップに最適化されたライムだった…!?

なかの:ガハハ、全ての道は萌えラップに通ず!……まぁ眉に唾つけて聞いてもらえればって感じっすけどねぇ
yuzu:急に正気に戻った。
砂:まぁ『いったん』の歌詞に話題を戻すと、やっぱりキャラソンらしく作品に寄り添っているのが凄くいいなって。今はトップアーティストがアニメ本編に寄り添った曲を作ってくれるようになって久しいですけど、やっぱキャラソンの味わいは格別!
なかの:キャラソンってそういう「寄り添い」の極致みたいなトコがありますもんね。だって「キャラが歌う」って殆どズルだし!
yuzu:確かに…
砂:キャラごとの歌いわけも性格に寄り添ったものになっていて、こういう細かい配慮がイイなぁと。
なかの:僕はやっぱり「無意味の肯定」ってのがこの曲のテーマなのかなって。何かと意味とか意義を考えすぎちゃう人って僕含め多いと思うんですけど、「いったん」「とりあえず」やってみようよ!みたいな。
砂:いやぁ、本当にそうっすね…
なかの:これから私たちが歌うことには何の意味はないかもしれないけど、歌おうよ!っていう。これこそパーティーミュージックの醍醐味というか、希望も諦観もひっくるめて進んでいく強かさ。
砂:マジでめっちゃ最高。ここまで褒めてもらえると嬉しいっすね…!
なかの:いや〜実はこの曲、元々自分も好きで聴いてたんですよ。でも「萌えラップ」って観点ではあんまり聴いてなかったというか…
yuzu:なるほど、確かにこれはスルーしちゃうラインかもですよね。
なかの:萌えラップってよりはシンプルに「鬼ほどいいアニソン」と思って聴いてたんでね。作曲家さんっていう観点で改めて注意深く聴いてみると、め〜っちゃ面白いなと思います!
砂:本当はめっちゃ韻踏んでるゴリゴリの萌えラップを持ってこようとも思ったんです。ただやっぱこう、どうせゲストとして伺うなら…
なかの:別の視点がね、入ることもイイよねという。
砂:ですね。それもゲスト回らしくて面白いかなと思いまして、ちょっとレギュレーションを緩めに行ってみました。
yuzu:萌えラップの宇宙がどんどん広がっている…!
おわりに
なかの:さてさて萌えラップヘッズ及び楽曲派アニソンオタクの砂さんを呼んでお届けした今回でしたが…どうでしたか?
yuzu:すごく新鮮な感じでしたね!今までの僕となかのさんが「HIPHOPヘッズ側」の意見だったんで、また違う目線が入ってきて楽しかったです〜
砂:僕は話し終わった今になって「賛否あったらどうしよう…」って思ってきてます!「俺はもっとヘッズの会話を聞きたい」みたいな読者の方にとってはノイズだったかも……
なかの:いやいや、ブログの読者さんは誰もヒップホップの話なんて聞きたくないという話があります。何故か読んでくださってる方もいるというだけ!
yuzu:僕らが需要を無視してラップの話をし続けているだけですからね 本当はアニメの話だけしてた方がいいはず…
砂:悲しっっっ
せやせや、「萌研」ブログってのを忘れんようにせなあかんで
(それあかねぇが言う…?)
砂:今回は出来なかったですけど、いつかはアイドルの萌えラップの話とかもしたいんですよねぇ
yuzu:お〜アイドル楽曲ですか!確かに全然詳しくないんで気になるかも…
なかの:そうそう、砂さんに教えてもらったMIC RAW RUGAとかライムベリーがマジでやばすぎるからね…萌えラップの範囲的には微妙にずれちゃうけど、ぜひ取り上げたい!
砂:おーうれしい!その時はまた呼んでください〜
アニメ・ゲームだけじゃ収まらない萌えラップの世界…広いわっ!
ライムベリーは激ヤバやで シャウトはみんなで”まず太鼓!”


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